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マイクロソフト研修とは? Microsoft 365・Azureスキルを高める学習コース&資格を解説

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マイクロソフト研修とは? Microsoft 365・Azureスキルを高める学習コース&資格を解説

「社員にマイクロソフトの資格は取得させたけれど、実務で活用できていない」「Copilotや Power Platformなど最新機能を使いこなせる人材が社内にいない」。こうした課題を抱える企業は少なくないでしょう。クラウド移行やDX推進が加速する中、単なる資格取得にとどまらず、実務で成果を出せるマイクロソフトスキルの習得が急務となっているのです。そこで本記事では、Microsoft 365・Azure・Power Platformを中心としたマイクロソフト研修の全体像を解説します。

 

目次


マイクロソフト研修が企業で急拡大する背景

マイクロソフト研修への投資が企業で急速に拡大している背景には、技術面と経営面の両方から見た必然性があります。以下、3つの主要な要因を詳しく見ていきましょう。

 

クラウド移行とゼロトラスト強化でAzureスキル需要が急増

国内クラウド市場は年々成長を続けており、特にMicrosoft Azureの採用が加速しています。オンプレミスからクラウドへの移行だけでなく、ハイブリッドクラウド環境の構築や、ゼロトラストセキュリティモデルの実装など、高度な設計・運用スキルが求められるようになりました。
こうした背景から、AZ-900(Azure Fundamentals)からAZ-305(Azure Solutions Architect Expert)まで、体系的な研修プログラムを導入する企業が増加。単発の資格取得研修ではなく、実務シナリオに基づいたハンズオン型の学習が主流となりつつあります。

 

Copilot for Microsoft 365など生成AI機能の普及

2023年11月にリリースされたCopilot for Microsoft 365は、WordやExcel、PowerPointなどのOfficeアプリケーションに生成AI機能を統合したサービスです。文書作成の効率化から、データ分析の自動化まで、業務生産性を大幅に向上させる可能性を秘めています。
しかし、導入企業がそれを十分に活用できているわけではありません。その要因は、従来のOffice操作スキルとは異なる「プロンプトエンジニアリング」や「AIとの協働スキル」が必要になったことがあります。効果的なプロンプトの書き方、生成結果の検証方法、セキュリティとプライバシーへの配慮など、新たなニーズが生まれているのです。

 

人的資本経営で注目される「デジタル リスキリング投資」

2023年3月期から上場企業に義務化された人的資本開示では、従業員のスキル開発への投資状況を報告することが求められています。特に注目されているのが、DX人材育成を目的とした「デジタルリスキリング」への投資額です。
経済産業省の発表資料によると、将来的に40万~80万人のIT人材が不足すると試算されています。この人材ギャップを埋めるため、多くの企業が既存社員のリスキリングに注力。マイクロソフト製品は多くの企業で標準ツールとなっているため、その研修投資は人的資本ROIを示しやすい領域として位置づけられています。

 

研修タイプ別・マイクロソフト公式トレーニングの特徴

マイクロソフトが提供する公式トレーニングには、無料のセルフラーニングから有料の認定コースまで、さまざまなタイプがあります。

 

Microsoft LearnとCloud Skills Challenge:無料セルフラーニング

Microsoft Learnは、マイクロソフトが提供する無料のオンライン学習プラットフォームです。
初心者向けの基礎コンテンツから、上級者向けの専門的なモジュールまで、1,000以上の学習パスが用意されています。


Cloud Skills Challengeは、期間限定で開催される学習イベントです。特定のテーマ(例:AI/ML、セキュリティ、データ分析など)に沿った学習パスを30日間で完了すると、認定試験の無料バウチャーがもらえることもあります。

 

MCT講師による認定クラスルーム/オンラインコース

MCT(Microsoft Certified Trainer)は、マイクロソフトが認定した公式トレーナーです。
技術スキルだけでなく、教育スキルも評価された専門家が、公式カリキュラムに基づいて研修を実施します。

認定コースの最大のメリットは、実機演習環境が提供されることです。Azure環境の構築や、Microsoft 365の管理者設定など、実際の業務シナリオに即したハンズオンラボを体験できます。
また、講師への質問もリアルタイムで可能なため、疑問点をその場で解決できるのも大きな利点です。

 

ハンズオンラボ&試験バウチャー付きブートキャンプ

ブートキャンプ形式の研修は、短期集中型で資格取得を目指すプログラムです。
通常3〜5日間の日程で、朝から夕方まで集中的に学習。最終日には認定試験を受験し、その場で資格取得を目指します。

この形式の最大の特徴は「没入型学習」にあります。日常業務から離れて学習に専念できるため、知識の定着率が高くなります。

 

分野別おすすめ研修コースと資格マップ

マイクロソフトの認定資格は、製品や役割ごとに体系化されています。ここでは、主要な3つの分野について、推奨される学習パスと資格取得の順序を解説します。

 

Azure基盤・運用:AZ-900 → AZ-104 → AZ-305

Azure関連の資格は、基礎レベルから専門家レベルまで段階的に設計されています。
まず取得すべきは「AZ-900: Microsoft Azure Fundamentals」です。クラウドの基本概念から、Azureの主要サービス、価格体系まで、幅広い知識を問われます。

次のステップは「AZ-104: Microsoft Azure Administrator」です。仮想マシンの管理、ストレージの構成、ネットワークの設計など、Azure管理者として必要な実務スキルが問われます。
最上位資格の「AZ-305: Designing Microsoft Azure Infrastructure Solutions」は、ソリューションアーキテクトを目指す方向けです。要件定義から、可用性・セキュリティを考慮した設計、コスト最適化まで、総合的な設計スキルが求められます。

 

Microsoft 365/Teams管理:MS-900 → MS-102 → SC-300

Microsoft 365関連の資格は、コラボレーションツールの管理からセキュリティまで幅広くカバーしています。
入門資格の「MS-900: Microsoft 365 Fundamentals」では、Teams、SharePoint、Exchange Onlineなどの基本機能と、クラウドサービスのメリットについて学びます。

「MS-102: Microsoft 365 Administrator」では、ユーザー管理、ライセンス割り当て、セキュリティポリシーの設定など、管理者として必要なスキルを網羅的に習得します。
セキュリティ強化を目指す場合は「SC-300: Microsoft Identity and Access Administrator」が次のステップです。Azure ADを使用した高度な認証設定、多要素認証の実装、特権アクセス管理など、ゼロトラストセキュリティの実現に必要なスキルを身につけられます。
Teams管理に特化したい場合は「MS-700: Managing Microsoft Teams」という選択肢も。チャネル設計、ゲストアクセス管理、音声通話の設定など、Teams固有の機能を深く学ぶことができます。

 

Power Platform & Power BI:PL-900 → PL-300 → RPA/Copilot活用

ローコード・ノーコード開発のニーズが高まる中、Power Platform関連のスキルは特に注目されています。
「PL-900: Microsoft Power Platform Fundamentals」では、Power Apps、Power Automate、Power BI、Power Virtual Agentsの基本概念と活用シーンを学びます。

実践的なスキルを身につけるなら「PL-300: Microsoft Power BI Data Analyst」です。データの取り込みから、変換、モデリング、可視化まで、一連のBI開発プロセスを習得できます。
Power Automateを使ったRPA開発については、現時点では専門の認定資格はありませんが、「PL-500: Microsoft Power Automate RPA Developer」の登場が予定されています。
Copilot活用についても、まだ体系的な資格は存在しません。しかし、「Copilot for Microsoft 365 User Enablement」といった公式トレーニングが提供され始めています。

 

マイクロソフト研修を成功させる設計フロー


効果的な研修プログラムを設計するには、現状分析から効果測定まで、体系的なアプローチが必要です。ここでは3ステップの設計フローを紹介します。

 

スキルアセスメントで人材ギャップを可視化

研修設計の第一歩は、現在のスキルレベルと目標レベルのギャップを明確にすることです。
マイクロソフトは「Skills Assessment」という無料ツールを提供しており、Azure、Microsoft 365、Power Platformなどの分野別にスキルレベルを測定できます。

組織全体のスキルマップを作成する場合は、部門別・役職別にアセスメント結果を集計することをおすすめします。例えば、情報システム部門ではAzure基盤スキルを、営業部門ではPower BIスキルを重点的に強化するといった、部門特性に応じた研修計画を立てられます。

 

業務ユースケースを基にラーニングパスを最適化

スキルギャップが明確になったら、実際の業務シーンを想定したラーニングパスを設計します。
重要なのは、汎用的な知識の習得ではなく、自社の業務に直結するスキルを優先することです。

例えば、営業部門向けのPower BI研修では、売上分析ダッシュボードの作成を最終目標に設定。Salesforceからのデータ取り込み、月次・四半期での集計、予実管理グラフの作成など、実際の業務で使用するシナリオに沿って学習を進めます。

 

LMSとラーニングアナリティクスで学習データを可視化・ROI計測

研修の効果を定量的に把握するには、LMS(Learning Management System)の活用が不可欠です。
Microsoft Viva Learningを使えば、Microsoft LearnやLinkedIn Learning、サードパーティの研修コンテンツを一元管理できます。

学習進捗の可視化では、コース完了率が最も基本的な指標ですが、それだけでは不十分です。理解度テストの平均点、学習時間の推移、繰り返し視聴されているコンテンツなど、多角的な分析が必要となります。

ROI計測では、研修前後でのKPI改善を追跡します。例えば、Power Automate研修後の業務自動化による時間削減量、Power BI導入後のレポート作成時間の短縮、Azureコスト最適化による費用削減額など、具体的な成果指標を設定します。

 

研修活用事例:国内企業の成功ケース

理論や方法論だけでなく、ここでは、業界や規模の異なる3社の事例を紹介します。

 

大手化粧品メーカー:データ活用人材育成プログラム

「テクノロジーを活用してビジネス・ものづくりを変革する」という事業戦略の推進に当たりReskilling Campを採用。“目指す姿”に必要な人材要件の整理などもできていない中、事業戦略に基づいた、デジタル人材育成の企画から運用まで伴走を行いました。
マインドセッションから始まり、データ分析の基礎知識やPower BIを活用した実践的なデータ分析など、「DX推進リーダー育成プログラム」を一気通貫で提供し高い評価をいただきました。

 

大手電機メーカーグループ会社:部門別にカスタマイズしたプログラム 

全社戦略として業務効率化・高度化が掲げられていましたが、部門ごとに業務が異なるため、それぞれに合わせたリスキリング方針・施策を立てる必要がありました。
そこでReskilling Campが本部ごとにカスタマイズした実践的なプログラムを提供。それぞれの業務内容や課題、スキルレベルに合わせたカリキュラムで、各部門ごとの課題解決、全社リスキリングの成功を実現しました。

 

金融機関:Microsoft 365セキュリティワークショップでリスクを低減

こちらはReskilling Campの事例ではありませんが紹介します。ある地方銀行では、リモートワーク拡大に伴うセキュリティリスクが課題となっていました。Microsoft 365は導入していたものの、高度なセキュリティ機能はほとんど活用されていない状態でした。
そこで、Microsoft 365セキュリティワークショップを実施。研修後3ヶ月で、フィッシングメールのクリック率が45%から15%に減少。
不審なサインイン試行の検知率は90%以上に向上し、実際のセキュリティインシデント発生数は30%減少しました。

 

研修パートナー選定のチェックリスト


マイクロソフト研修を成功させるには、適切なパートナー選びが重要です。ここでは、研修ベンダーを評価する際の重要なチェックポイントを解説します。

 

MCT(Microsoft Certified Trainer)の在籍とサポート体制

まず確認すべきは、MCT資格を持つトレーナーの在籍状況です。MCTは、技術知識だけでなく、インストラクションスキルも認定された専門家です。特に、担当予定のトレーナーがどの分野のMCT資格を保有しているか、実務経験はどの程度あるかを確認することが重要です。

トレーナーの専門分野も重要な選定基準となります。Azure専門、Microsoft 365専門、Power Platform専門など、それぞれ得意領域が異なります。自社の研修ニーズに合った専門性を持つトレーナーがアサインされるかを事前に確認しましょう。
サポート体制では、研修期間中だけでなく、事前・事後のフォローも重要です。事前の技術要件確認、環境設定サポート、研修後の質問対応期間など、トータルでのサポート内容を確認します。特に、研修後の実務適用期間中のサポートは、知識定着に大きく影響します。

 

試験対策・再受験制度・資格更新の支援有無

認定資格取得を目指す場合、試験対策の充実度は重要な選定基準です。模擬試験の提供回数、的中率、解説の詳細さなどを確認します。優良なパートナーは、過去の受験者データを基に、頻出問題や要注意ポイントを的確にアドバイスしてくれます。

再受験制度の有無も確認すべきポイントです。マイクロソフト認定試験の合格率は、上位資格ほど低くなる傾向があります。不合格時の再受験料サポート、追加対策講座の提供など、合格まで責任を持ってサポートしてくれるかを確認しましょう。

資格更新サポートも長期的には重要です。多くのマイクロソフト認定資格は1〜2年での更新が必要であり、更新を怠ると資格が失効します。更新時期のリマインド、更新に必要な学習コンテンツの提供、更新試験対策など、継続的なサポートが受けられるかをチェックします。

 

伴走型コーチングと社内展開支援(e.g. ピアラーニングコミュニティ)

単発の研修では、学んだ知識が実務に定着しにくいという課題があります。そのため、研修後も継続的に学習をサポートする「伴走型コーチング」の有無は、重要な選定基準となります。
優れたパートナーは、研修後も定期的な1on1セッションやグループコーチングを提供します。実務で直面した課題の相談、学習内容の応用方法のアドバイス、さらなるスキルアップのための個別指導など、受講者一人ひとりのニーズに応じたサポートを行います。

社内展開支援も見逃せないポイントです。研修で学んだ知識を組織全体に広げるには、受講者が社内講師となって知識を伝播する仕組みが効果的です。
パートナーによっては、社内勉強会の運営方法、教材の二次利用許可、ティーチングスキル研修など、知識展開を支援するプログラムを提供しています。

ピアラーニングコミュニティの構築支援も重要な要素です。受講者同士が継続的に情報交換できる場を作ることで、学習意欲の維持と実践知の共有が促進されます。TeamsやYammerを活用したオンラインコミュニティの立ち上げ、定期的な情報共有会の企画など、コミュニティ活性化のノウハウを持つパートナーを選ぶことをおすすめします。

 

マイクロソフト研修でクラウド&AI人材を育成しDXを加速しよう

本記事では、マイクロソフト研修の全体像から、具体的な実施方法、成功事例まで幅広く解説してきました。
研修を成功させるポイントは、以下の3つに集約されます。
第一に、スキルアセスメントによる現状把握と、業務に直結したラーニングパスの設計。第二に、資格取得だけでなく、実務での活用を見据えた実践的なプログラムの選択。第三に、継続的な学習を支援する体制の構築と、組織全体への知識展開の仕組みづくりです。

特に重要なのは、研修を単なるコストではなく、投資として捉えることです。適切に設計・実施された研修プログラムは、明確なROIを生み出します。業務効率化による時間削減、意思決定の迅速化、セキュリティリスクの低減など、定量的な成果として現れるのです。

また、テクノロジーの進化スピードを考えると、一度きりの研修では不十分です。Microsoft 365の新機能、Azureの新サービス、Copilotの進化など、継続的なアップデートに対応できる学習文化の醸成が求められます。そのためには、社内にラーニングコミュニティを作り、知識共有と相互学習の仕組みを定着させることが重要となります。

最後に、研修パートナー選びは慎重に行うべきです。MCT資格保有者の在籍、試験対策の充実度、伴走型サポートの有無など、本記事で紹介したチェックポイントを参考に、自社のニーズに最も適したパートナーを選定してください。

デジタル人材不足が叫ばれる中、既存社員のリスキリングは最も現実的かつ効果的な解決策です。マイクロソフト研修を通じて、クラウド&AI時代に対応できる人材を育成し、DXを加速させていきましょう。

 

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