DX研修の選び方とおすすめサービス比較|カリキュラム・成功事例なども紹介【2025年版】
DXを推進するために、自社の人材をどう育成すればよいのか。人事・人材開発やDX推進部門の担当者にとって、DX研修の内容やサービス選びは大きな悩みです。何から始めればいいのか、どんな研修を選ぶべきか、費用対効果は見合うのか――疑問が尽きません。
結論として、DX人材育成の鍵は自社の目的に合った研修を選び、現場で成果を出すまで伴走することです。そのためには研修の種類と選定ポイントを理解し、自社に合うサービスを比較検討する必要があります。
本記事では、DX研修の主なタイプや研修選びの評価軸、費用相場を整理し、代表的なサービスを比較します。さらに、DX研修の導入ロードマップや成果を上げた成功事例もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
- DX研修が急拡大する背景
- 主なDX研修のタイプ
- DX研修を選ぶ5つの評価軸
- DX研修サービス早見表(タイプ別おすすめ)
- DX研修でReskilling Campが選ばれる理由
- DX研修で“人と組織”をアップデートしよう
DX研修が急拡大する背景
DX研修の需要が高まる理由として、企業はまず社内リソースを活用して人材育成を図ろうとする傾向が強まっています。実際に各種調査では、DX人材育成の取り組みとして最も多く採用されているのが「育成研修」であることが明らかになりました。
DX人材の確保は「社内育成・研修」が62.8%
近年、DX人材の育成ニーズは急速に高まっていて、企業の研修予算も拡大傾向にあります。2025 6年の調査では、DX人材の確保・獲得方法について「社内育成・研修」が62.8%と最も多く、次いで「出向・転籍」が53.2%、「中途採用」が42.4%となっています。
出典:出典:リスキリング調査レポート~リスキリングの最新風潮とDX人材育成のリアル~【2025年6月版】P29
出典:リスキリング調査レポート~リスキリングの最新風潮とDX人材育成のリアル~【2025年6月版】15P
多くの企業が自社内で研修を行いつつも、専門知識を補うために外部サービスも併用していることが伺えます。また、研修に投じる予算規模は「500万円以上~1000万円未満」が30.5%、「1000万~3000万円未満」が26.3%とボリュームゾーンで、約半数の企業が年間500万円超をDX研修に投資している状況です。こうした投資に対して「大きな成果がでたと感じている」「成果を実感できた」と回答した企業の割合は、大手企業または大手企業のグループ会社で72.2%、中小企業で78.9%となり、多くの企業がリスクリングの取り組みを高く評価しています。
出典:リスキリング調査レポート~リスキリングの最新風潮とDX人材育成のリアル~【2025年6月版】P16、P20
オンライン×ハンズオン型が主流に
DX研修の提供形態も変化しています。従来は対面中心の集合研修が主流でしたが、コロナ禍を経てオンライン研修が一気に普及しました。特に近年は、座学だけでなく実践演習を組み合わせた「オンライン×ハンズオン」形式が一般的になっています。
実際、対面での実機演習が難しいようなAI研修でも、遠隔で手を動かすハンズオンを完全オンラインで実施できるようになり、受講者の満足度は対面時と遜色ない結果が出ています。オンライン環境とクラウドツールの活用により、地理的な制約なく多数の社員に実践的なDXスキル習得の場を提供できるようになりました。
また、講義動画による事前学習(オンデマンド)とライブ研修でのハンズオンを組み合わせたハイブリッド型も増えています。こうした形式により、受講者は基礎知識の習得から実務課題の解決まで一貫した学習サイクルを回しやすくなっています。
主なDX研修のタイプ
まずは全社員に共通する土台として、DXとは何かを理解しデジタル思考を身につけるためのDXリテラシー講座から見ていきましょう。
① DXリテラシー講座(基礎知識・マインドセット)
DXリテラシー講座とは、デジタル技術やDXの基本概念について学ぶ入門的な研修です。DXとは何か、なぜ必要かといったマインドセット(意識改革)から、AI・クラウド・データ活用などの基礎知識まで幅広く扱います。
対象者は経営層から一般社員まで全社的に実施されることが多く、IT部門以外の社員にもデジタルへの理解を深めてもらう狙いがあります。具体的には、国内外のDX成功事例の紹介、ビジネスにおけるデータ活用の基本、チャットボットやRPAとは何か――といった講義が一般的です。まず社員のITリテラシーを底上げし、DX推進の共通言語と土台を作ることが目的です。
② ハンズオン研修(RPA/Power Automate/クラウド)
ハンズオン研修とは、実際に手を動かしながらスキルを習得する実践形式の研修です。RPA(Robotic Process Automation)のコースでは受講者自身が簡単な業務自動化のシナリオを作成したり、Microsoft Power Automate研修では社内フローの自動化アプリを実際に構築しします。
またクラウド研修では、AzureやAWSなどクラウドサービス上でのサーバー構築を演習を通じて学びます。専門講師の指導のもと、トライアル&エラーを繰り返すことで具体的なツールの使い方だけでなく、デジタル技術で問題解決する実践力が身につきます。
これらハンズオン型の研修は、現場で即活用できるスキルを習得させたいエンジニア層はもちろん、業務部門の社員が市民開発者(Citizen Developer)として自部署の自動化に取り組むケースにも有効です。
③ データ活用・AI活用研修(BI/生成AI)
データ活用・AI活用研修では、その名の通りデータ分析やAI(人工知能)のビジネス活用法を学びます。例えばBI(Business Intelligence)研修では、ExcelやBIツール(TableauやPower BIなど)を使ったデータ可視化・分析手法を習得し、業務の意思決定にデータを活かす力を養います。
出典:リスキリングレポート~リスキリングによる報酬変化と生成AI(ChatGPTなど)活用の最新状況~【2025年3月版】29P
またAI活用研修では、機械学習の基礎や、近年話題の生成AI(ChatGPTなど)を業務効率化に活用する方法を学びます。当社の調査では、生成AIを「週1回以上」業務で使っている企業が約4割に達していて、チャットボットによる問合せ対応や文章作成支援などAIリテラシー教育の重要性が増しています。これら研修を通じて、データから洞察を得るスキルやAIツールを使いこなす素養を社内に醸成できます。
④ DX戦略立案・ビジネスアーキテクト養成
DX戦略立案・ビジネスアーキテクト養成研修は、企業のDX推進を牽引するリーダー層を育成するプログラムです。内容は、DXの全社戦略の立て方やデジタル技術を活用した新規ビジネス企画、業務プロセス改革のデザインなど多岐にわたります。
受講対象は経営幹部や事業部門のマネージャー、あるいは次世代のDX推進リーダー候補となる社員です。研修では自社のDXロードマップを策定するワークショップや、ビジネスアーキテクト(業務とITの橋渡し役)に必要なフレームワークの演習、DXプロジェクトのプランニング手法などが扱われます。
DX研修を選ぶ5つの評価軸
では、数あるDX研修サービスから自社に最適なプログラムを選定するために、まず「何を基準に比較すべきか」を整理しましょう。はじめに確認したいポイントは、研修が自社の目標と指標にどれだけ合致しているかという視点です。
1. 研修目的とKPIへのフィット度
まず自社がDX研修で「何を達成したいのか」を明確に定めましょう。例えば「業務プロセスを〇%効率化したい」「新規デジタルサービスを創出したい」など、目標によって適切な研修内容は異なります。研修を選定する際には、そのプログラムが自社のKPI(重要業績評価指標)に直結しているかを確認することが重要です。
また、受講した結果が実務に結びつくかどうかの視点も重要です。知識・スキルを身につけるだけの研修は避けたほうが賢明と言えるでしょう。身についたスキルが実際の業務で活用できるのかどうかも、研修選びのポイントになります。
研修の狙いと現場課題がかけ離れていると成果に繋がりにくく、実際「研修内容が実務にマッチしていなかった」ことを失敗要因に挙げる企業も多くあります。例えば、現場の手作業を自動化したいのであればRPAやローコード開発研修を選ぶ、売上データを分析してマーケティングに活かしたいならBI研修を検討するといった具合に、研修のゴールと内容の合致を最優先しましょう。
2. カリキュラム深度とカスタマイズ性
研修のレベル感や内容が自社の受講者に適切かを見極めます。全社員対象なら初心者にもわかりやすい平易な講座が必要ですし、エンジニア対象なら高度な専門知識まで踏み込んだ内容でなければ物足りないでしょう。
また、研修会社がカリキュラムを柔軟にカスタマイズできるかも重要です。自社の業種・業務に即した事例を取り入れてくれたり、研修内容を自社専用に設計してくれるサービスであれば、社内への定着度が高まります。
実際、ヘアカラー製造大手のホーユー様は自社の目的に合致する学習プログラムを検討した結果、オリジナルカリキュラム作成や定量・定性の両面からスキルをアセスメントできる点を高く評価しReskilling Campを導入しました。このように、内容の深さだけでなく自社ニーズへのフィットも研修効果を左右します。
3. 受講形式(eラーニング×集合×1on1)と学習サイクル
研修の受講形態も比較ポイントです。忙しい社員が多い場合は、好きな時間に学べるeラーニング(オンデマンド研修)が適しています。一方、リアルタイムで双方向に学べる集合研修(オンライン含む)は講師や他の受講者とのディスカッションを通じて深い学びが得られます。
また研修前後の1on1メンタリングやコーチングがあると、受講者それぞれの課題に寄り添ったフォローが可能です。研修会社によって提供形式は様々で、例えばトレノケート社ではオンライン研修と対面研修を組み合わせてテーマに応じ柔軟に実施できます。
自社の受講環境や参加者の特性に合った形式を選びましょう。さらに、事前学習→講義→演習→振り返りといった学習サイクルが設計されているかも確認ポイントです。単発の研修で終わらず、定期的な演習課題や現場での実践→フィードバックまで回す仕組みがあれば、学習定着率は一段と高まります。
4. 効果測定方法(スキルアセスメント/ROIレポート)
研修を実施しただけで満足せず、どの程度効果があったかを測定する仕組みも重要です。研修前後で受講者のスキルを評価するアセスメント(テストや実技試験)があれば、習熟度の向上を客観的に把握できます。
また、研修による業務改善効果を定量化しROI(投資対効果)レポートとして提示してくれるサービスもあります。例えば研修後に「業務時間を○%削減できた」「エラー件数が△件減った」などの指標をレポート化すれば、経営層にも研修の価値を説明しやすくなります。ホーユー様の例では、研修後に受講者の上司向けにマネジメント支援を行い、学んだ内容が現場で効果的に活用される環境まで整えています。
5. 導入実績とサポート体制
研修サービス提供会社の実績やサポート体制も確認しましょう。これまでに何社で導入されているか、自社と同規模・同業界の実績はあるか、といった点はサービス選定の重要な判断材料になります。特に有名企業での採用例がある研修は内容や効果が洗練されている傾向があります。(例:リスキリング支援サービス『Reskilling Camp』、トヨタ自動車のデジタル人材育成を支援し組織変革を促進)
また、研修導入前後のサポートも重視すべきポイントです。社内で研修企画・運営リソースが不足しがちであることは多くの企業の課題で、研修会社が事前のプログラム設計から当日のファシリテーション、研修後の定着支援まで伴走してくれる体制だと安心です。問い合わせ対応の迅速さ、追加の講師派遣、受講者の進捗レポート提供など手厚いサポートがあれば、研修効果の最大化と社内展開の円滑化につながります。
DX研修サービス早見表(タイプ別おすすめ)
代表的な研修サービスは大きく三つのカテゴリに分けられます。まずは標準化された講座をオンライン中心で提供するクラウド講座型のサービスから確認してみましょう。
クラウド講座型
クラウド講座型の研修サービスは、大手IT企業の研修子会社などが提供するパッケージ化された講座が中心です。富士通ラーニングメディアや日立アカデミーでは、DX人材育成向けの標準カリキュラムが数多く用意されていて、基礎から応用まで体系的に学べます。
例えば富士通ラーニングメディアではDXリテラシー入門講座からAI・クラウドの技術講座、DX戦略策定ワークショップまで幅広くラインナップされていて、自社課題に合ったコースを選択できます。
また研修は公開講座として定期開催されるものも多く、他社合同の集合研修として実施されるケースが一般的です。短期間で最新知識を体系立てて習得したい場合に適したサービスと言えます。
ハンズオン専門
ハンズオン専門の研修サービスは、実践重視のカリキュラムを特徴としています。トレノケートはIT技術教育で豊富な実績を持ち、プログラミングやクラウド構築などエンジニア育成研修に強みがあります。最短2時間の入門コースから職種別の具体的なDX施策を学べるコースまで多彩なラインナップを揃えていて、自社のニーズに応じて柔軟に研修を組み合わせ可能です。
一方、AI研修に強いキカガクは初学者にも分かりやすい丁寧な指導と徹底した実践演習で知られています。例えばキカガクでは、依頼企業の実データを預かり分析やAIモデル開発の演習に使うといった実データ活用PBL(課題解決型学習)研修が人気です。研修内容自体も高いカスタマイズ性で企業ごとの育成ニーズに合わせて組み替えが可能となっていて、受講者満足度も高く評価されています。これらハンズオン特化型のサービスは、実務で使えるスキルを習得させたい場合に最適です。
伴走型リスキリング
伴走型リスキリングサービスの代表例がReskilling Camp(パーソルイノベーション)です。単発の講座提供に留まらず、研修の企画段階からプロジェクトの完遂まで専門チームが伴走支援してくれるのが特徴です。さらに、ハンズオンとコーチングを個社毎に組み合わせてカスタマイズする研修なので、結果に直結する内容となっています。
DXリテラシーからクラウド構築、生成AI活用に至るまで段階別のモジュールを組み合わせ、受講者は実務のDXプロジェクトに挑戦しながら学びます。研修後には現場への適用支援や効果測定(ROIレポート)まで実施されるため、経営層への報告・説得材料も得やすい仕組みです。大手企業での導入実績もあり、その包括的な支援モデルが指示されています。
具体例として事例動画を公開しておりますので、ご覧ください。
DX研修でReskilling Campが選ばれる理由
多くの日本企業がDX人材育成の取り組みや投資を進めている現状から分かる通り、DX推進の最大の課題は、「DXを現場で実行できるリーダーの不足」です。Reskilling Campは、実践を前提とした個社最適のカリキュラムと、経験豊富な専門コーチの伴走型支援により、企業のDX課題を人材育成の観点から解決します。
確立されたデジタル人材育成メソッドでDX推進リーダーを育成
Reskilling CampはPDCAサイクルを活用した独自の育成メソッドを提供しています。
① Plan: 中期経営計画やDX戦略を踏まえ、具体的なデジタル人材像を明確化
② Do(設計): 自社の業務や組織課題に最適化したオーダーメイド型のカリキュラムを作成
③ Do(実施): テクニカルスキルとキャリア開発の両面で専門コーチが徹底伴走
④ Check: 効果を可視化するアセスメントや具体的なコーチフィードバックを提供
⑤ Act: 評価結果をもとにした次期施策の具体的提案、さらなる人材育成の定着化を支援
これにより、自社内に「事業を理解し、デジタル技術を駆使して価値創造をリードできるDX人材」を継続的に生み出せる環境を整えます。
DX推進リーダー育成が中計達成に直結する理由
中期経営計画で掲げる「既存事業の高度化」や「新規サービス創出」を実現するためには、外部任せではなく、社内にDXの実行ノウハウを蓄積し、変革をリードできる人材の存在が不可欠です。
社内にDX推進リーダーを育てることにより、以下が可能になります。
① 戦略と現場課題を的確に橋渡しできる
② DX推進を現場レベルで自律的に実行できる
③ 人材の定着とスキル継承を通じて投資のROIを最大化できる
結果として、中計KPI(売上高成長率、新規事業・サービス創出数など)の達成をより確実なものにします。
具体例として事例動画を公開しておりますので、ご覧ください。
DX研修で“人と組織”をアップデートしよう
DXの成功は、突き詰めれば「人材」にかかっています。社員一人ひとりのデジタルスキルを高め、人と組織をアップデートしていくことが、激しい変化の時代を勝ち抜くカギです。本記事で述べたように、DX研修を効果的に導入するには研修のタイプやサービスを自社の目的に合わせて選び、研修内容の実践への落とし込みまで考えることが重要になります。
内部リソースだけで難しい部分は外部の専門サービスもうまく活用し、社内にノウハウを取り込めば、DX推進のスピードと成果は飛躍的に向上するでしょう。ぜひ本記事のポイントを参考に、自社に最適なDX研修プランを策定して、“人も組織も”アップデートする一歩を踏み出してください。